麻疹ワクチン接種後副反応、健康調査のまとめ

 1997年4月の開院以来、2002年3月までの5年に1381例(男695例、女686例)に麻疹ワクチン接種を行い(武田816例、北里545例、ピケン20例)、1170例(84.7%)で経過表を回収することができました。その結果を報告致します。

グラフ1

 グラフ1)は接種例1381例を年齢別にみたものです。1歳での接種が1157例(83.8%)を占めていました。これを詳しくみてみると12M252例、13M168例、14M149例、15M138例、16-17M190例、18-23M260例でした。1歳になってのすぐの接種が目立ちます。2歳138例、3歳33例、4-6歳35例、7-9歳9例、10歳以上9例で15歳が最高年齢でした。1歳での接種例が多いのが特徴です。誕生日を迎えたら麻疹ワクチンというのが定着してきています。今後は風疹、水痘、オタフクワクチンを広めていきたいと思います。

グラフ2

 ここからの検討は、10歳未満1372例(経過表回収1164例)で行います。
 グラフ2)は1372例を接種した月別にみたものです。一番上の青色部分は報告がなかった件数を表しています。青色以下が報告例1164例です。黄色部分は副反応も何もなかった群です。赤色部分以下が副反応例で紫部分は発熱例である事を示しています。
 多少の鼻水、咳位なら接種を行っています。熱は37.3度位までなら、元気があれば接種を行っています。体温だけでは、何度の熱からを副反応として判断するのか難しいのです。接種後の咳、鼻水、微熱は副反応としてカウントしていない事を御了承下さい。
 月別接種数を見ますと、7月が最も多くて157例、11月が最も少なくて36例でした。4、5月はポリオワクチンの影響で、8月は夏という事で、10-12月はポリオ、インフルエンザワクチンの影響で特に11月に最も接種数の減少が見られました。
 生ワクチンの接種は夏は避けて、4、5月、10、11月はポリオがあり、冬はインフルエンザが流行するとなると、接種を受ける時がありません。
 今はポリオは日本では流行していないので、少しは遅れても先に麻疹ワクチンを接種した方が良いという意見もあります。しかし正解は、外国では常識のようにポリオも個別接種にして麻疹ワクチンとの同時接種も認めるということだと思っています。
 次は副反応として発熱をとりあげます。発熱は266/1164(22.9%)にみられました。静岡県(静岡市?)では、何故だか夏場は特に生ワクチン接種を避けるという指導がなされてきた傾向があるようでした。私は問題ないという立場です。そこで実際にどうなのか発熱率を月別に分析しますと、4月24/83(28.9%)、5月15/70(21.4%)、6月30/114(26.3%)、7月40/133(30.0%)、8月19/97(19.6%)、9月29/123(23.6%)、10月20/76(26.3%)、11月6/30(20.0%)、12月10/64(15.6%)、1月31/123(25.2%)、2月19/126(15.1%)、3月23/125(18.4%)です。
 7月が30%と最も高くなっていますが、4月でも28.9%、1月でも25.2%であり、8月では19.6%足らずです。夏場が多いという事はありませんでした。尤も副反応は発熱に限りませんが、他のものが、季節によって異なるとは思えません。
 発熱率そのものを前回報告したインフルエンザと比べてみます。インフルエンザワクチンでの発熱率は1歳33/276(12.0%)、2歳51/489(10.4%)、3歳59/438(13.8%)でしたので、明らかに麻疹ワクチンはインフルエンザワクチンより発熱する例が多いと言えます。これは生ワクチンという宿命でしょうか?
 DPTワクチンでは月別にみた発熱率は8.9-15.0%であった事を附記しておきます。

グラフ3

 グラフ3)は発熱例266例を接種後日数別にみたものです。これは発熱開始日でみたものです。なかには4日、5日間の発熱例もありますので、例えば接種後7日目に発熱している例はここに図示したものより増えます。発熱体温は発熱期間中の最高値でみたものです。
 接種日当日の発熱が7例、しかも2例が39度以上でした。2日の発熱は9例、4例が39度以上でした。8日目40例(11例が39度以上)、9日目54例(9例が39度以上)でした。
 麻疹ワクチンでは接種後1、2日の発熱は考えにくいところです。1歳児では7/1164、9/1164、0.60%から0.77%このぐらいは、ワクチン接種なしで、同じ検討をしても、発熱するのではないでしょうか。8-11日の発熱はワクチンによるものが多いと考えています。
 グラフにはしませんが発熱期間でみると1日87例、2日83例、3日59例、4日21例、5日5例、6日2例、7日0例、8日2例でした。
 またはっきりとした診断がついていたものをあげてみます。
  水痘2例、突発性発疹8例、熱性痙攣3例
  入院例は肺炎(1歳1ヶ月)、熱性痙攣(1歳7ヶ月)の2例でした。

4)その他の副反応
接種部位局所の腫脹は26/1164(2.2%)でした。しかし少しという記載が多く、3cmを越えるものはなく、あらわれた時期も一定のものはありませんでした。
 発疹は96/1164(8.2%)であり、このうち55例は発熱を伴っていました。


まとめ
1)1997.4から2002.3の5年間に10歳未満の子供達、1372例に麻疹ワクチン接種を行い、1164例84.8%で経過表を回収することが出来た。皆様方の高い関心のあらわれと思います。
2)副反応としては、発熱226/1164(22.9%)、発疹96/1164(8.2%)、腫脹26/1164(2.2%)であった。不活化ワクチンである、インフルエンザ、DPTと比較すると、局所の腫脹は少ないが、発熱率はやや高いと言える。
3)月別に接種数をみてみると36(11月)-157(7月)とバラツキが見られた。
4)月別に発熱率をみると特に夏場を避けるべきという根拠はなかった。
5)今後は、経過表の回収率95%以上を目指し、ワクチン接種後何が起こっているのかをより正確に把握していきたいと思います。
6)ただ時に記載が不十分な事があるのが残念です。腫脹少しというのではなく、0.何cmとか何mmと記載して下さい。発熱のみではなく、一日の最高体温の記載を御願い致します。
7)ワクチン接種前、後に幾多の質問を受けます。短時間での回答には難しいものがあります。

2003年10月12日  まつもとこどもクリニック

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